カナダでは、日本とは全く異なる教育システムを導入していることにより、高校~大学までの進学の仕組みが複雑です。そのため、多くの日本人留学生は、州立の大学に行くことが大変なことであるとか、長期間行かなければならないなどの先入観を持っています。
ですが、一見複雑そうに見えるカナダの高校~大学の仕組みも、一度理解すると、実はそのシステムが柔軟で、一人ひとりが自分のペースで学習できるシステムになっている事が分かります。
ここでは、少しだけ具体的にカナダの高校から大学の仕組みをお伝えします。全ての情報はカナダ大使館のウェブサイトを参考にしていますので、このページを製作している現段階の情報を元にしていますが、あなたが現在読んでいる時点での情報とは異なる可能性があるということをご了承ください。
留学希望者は是非カナダ大使館のウエブサイトを熟読しておくと良いかもしれませんよ!
さて、まずは高校ですが、カナダでは一般に2つの方法で高校卒業認定を受けることができます。一般公立の高校卒業と、日本で言うところの「大検」がそうですね。
カナダでも同じように、成人で高校資格を取得したい人へのサポートとして、Continuing Education(継続教育)と呼ばれるシステムを採用しています。
このシステムは、州立のカレッジや各都市の教育委員会で行われているので、希望しているカレッジで高校卒業の資格を取得後に一般のプログラムを受講する場合もありますし、教科によっては、高校卒業の資格を取得しつつ、同時にカレッジの正規プログラムを受講することもできちゃうんですよ。カレッジのキャンパスが、様々な教育目的で有効活用されているのがわかりますね。
高校を卒業した人が次に行くのは、カレッジか大学です。カレッジというシステムは日本にはないため、日本の短大という解釈とは少し違ったイメージです。
カレッジでは、6ヶ月~2年の数多くのプログラムが用意されていて、特に専門的な、社会的自立・キャリア・即戦力につながる教育を行っています。日本の専門学校的な要素が強いのですが、日本のそれとの大きな違いは、州立の大学で行われているところです。
従って、もしあなたが2年のプログラムを受講した後にキャリアアップを目指す場合、2年間で取得した単位を、そのまま4年制の大学プログラム(学士プログラム:バチェラーと呼びます。)に移し変えることが可能なんですね。
具体的に、「建築が好きな学生」を例にあげましょう。
まず、州立の North Island Collegeで、Drafting(CADD)と呼ばれるコンピューターによる設計図を描く資格を取るコース(9ヶ月)を取りました。
その後、もう少しエンジニア的な要素を学びたい!と考えて、University College of the Cariboo という州立の学校にある「エンジニアデザインと設計技術を学ぶコース(15ヶ月)」で、ディプロマと呼ばれる資格を取得することに決めました。
約2年で学んできたことを生かして、さらに大学で学びたいと考えた場合、すでに終了したプログラムの単位を移し変えて、州立の大学に進学することが可能になります。
こういったシステムの利点は、短いプログラムの取得が可能な点ですね。プログラムを終えるとき、もしもう少し勉強したいと思ったら、柔軟に継続していくことが可能で、過去に取得したプログラムが無駄にならないという点。まさに、自分のペースで勉強したい人にとっては素晴らしいシステムなんですよ。
カナダでは、多くの社会人をはじめリタイア後の方々が、自分のライフスタイルに合わせてステップアップしています。上記の例であげた建築の他にも、芸術・ファッション・グラフィックアート・メディア(映像・映画)・ビジネス・観光・調理・心理カウンセリングなど、様々な分野で同様なことが可能です。
カナダの大学システムでは、カレッジの上に「ユニバーシティーカレッジ」、そのさらに上に「ユニバーシティー(いわゆる総合大学)」があります。
ユニバーシティーカレッジと呼ばれる州立の学校は、ちょうど、カレッジとユニバーシティーの両方のプログラムを持ち合わせたような学校です。ですので、2年制のカレッジで取得した資格(単位)をそのまま活用して、4年制のプログラムに移し変えることが可能になるんですね。
ユニバーシティー(大学)では、理論・研究・講義の授業が多く、社会・環境・教育・産業などにおいて、改革・発展・躍進にともなう基盤となる思想や哲学を学びます。サティフィケートやディプロマと呼んでいる短い期間の専門的資格の取得も可能で、特に学士過程である4年制の大学を終えてから継続して学びたいという人が活用しています。
カナダでは日本と違い、多くの大学の新学期は9月に始まります。日本との大きな違いは、入学可能時期の豊富さです。入学可能なのが、1月・5月(夏学期実施校)・9月と、年に数回あります。
また、カナダの州立大学にかかる費用は、通常6000ドル~17000ドルで、大学や専攻によって大きく異なります。そのほか、教科書代や野外活動費などを含めると、安い場合は年間1万ドル以下、高くても2万ドルくらいです。
カナダに滞在中に、大学などの寮(レジデンス)を利用する場合は、1ヶ月500ドル~1000ドルが目安となり、食事アリとナシでまた値段も変わります。大学の寮の変わりにホームステイをするとしても、同じくらいの費用がかかるでしょう。
いずれにしても、カナダのカレッジ~大学の仕組みは、複雑に見えて実は簡単なものです。あなたが学びたいことが好きなだけ学べる環境があり、年齢・性別・肌の色なんて関係ありません。そのような環境で学べることがどれだけ素晴らしいものかを確かめに、ぜひ一度、カナダに訪れてみてはいかがでしょうか。